DIY (Do It Yourself)
僕の研究室では、実験装置も数値計算プログラムも基本的にはみんな自分でつくってもらう。初めて『つくる』のは大変だが、一から『つくる』のは経験になるし、勉強になる。そして、何よりものの見方の経験値が上がる、エンジニアとして一つ上のステージに上がることができる、と思っている。
まずチャレンジ、つまり”心(気持ち)”を一歩踏み出す。そして、実際に手を動かす。
ただ絵や図面を描いただけでは分からないことがたくさんある。「もの」をつくり、動かしてみて初めて分かることは多い。
現在、設計図面はCADで描くのが当たり前となっている。CADで描いた図をコンピューター上で動かすことや配管図内の流動のシミュレーションも当たり前にできる。しかし、CADで描いたロボットを動かした場合、ボルトやナットを落としながら移動することはない。CADで書いた配管図内に水を流しても、水が水路途中から漏れることはない。しかし、実際に製作したロボットが動いた後にナットが落ちていることがあるし、水路の隙間から水が漏れることがある。
素材選び、加工方法、製作工程、組立方法など、CAD図面だけでは分からないことがたくさんある。実際の「もの」が発する声(ナット外れ、水の漏洩)に耳を傾ける(向き合う)ことでエンジニアとしての経験値が上がる。
このようなことを実際に経験することで、色々な可能性に対して思いを巡らすことができる。頭の中で様々な可能性をシミュレーションすることができるようになる。そして、他のエンジニアといろいろな想定を共有することができるようになる。絵を描いただけでは、このような考えに頭を思いめぐらすことができず、思考停止になりがちである。この違いは大きい。大違いである。
自分が作った「もの」が愛おしく、そして、恥ずかしく思える。これがDIYだと思う。
こういう経験する機会に向き合い、これからも自らチャレンジしていく。