新入生への言葉
新入生に向けて、4/5の学科ガイダンスで機械工学科主任として歓迎の挨拶をした。
まずは入学のお祝いを言い、その後二つの話をした。
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一つ目は、『手は脳を宿す』 についてお話しします。
人類の起源はホモサピエンスと言われていますが、その400万年前のヒト族 Ardi の脳は約350cc しかなかった。その後、劇的に脳の大きさは増加した。それは、手を使うようになってからです。手と脳はつながっています。大学はアカデミックな場ですから、論理的な学問体系を基盤とした様々なスキルを身に着ける必要があります。これらは君たちが社会に出た際の土台となるものです。本学科では、手を動かしてこれらスキルを修得するカリキュラムが沢山あるので、積極的に取り組んで、コツコツと身に着けて下さい。
二つ目は、『小さなトライを続ける』、別な言葉だと『寄り道の勧め』についてお話しします。
最近読んだ「会社はあなたを育ててくれない」という本の中に「働き方改革」についての話題がありました。2015年に施行された「若者雇用促進法」、そして2019年から段階的に施行されている「働き方改革関連法」がこれに当たります。働きたくても働けない。特に若者はここ10年で10%以上労働時間が減少しています。大雑把ですが、10年前は2200時間働いていたのが、2000時間と200時間減っています。1日8時間換算で25日、すなわち1ヶ月以上働く時間が減っていることになります。良いと思うかもしれません。しかし、これまで企業の中で得られていた経験の機会が減っていて、個人個人の経験の差が生まれてしまうことになります。この本では一つの解として、空いた時間に小さなトライをたくさんする「寄り道」を勧めています。
まずはこの大学の中で、いろいろなトライして下さい。この後の人生の糧になるはずです。
1年目は実籾キャンパスで、教養課程科目が主で、高校の延長と思うかもしれません。もし、飽き足らない場合は、是非12号館に来て、研究室に行き、最新の研究の話しを聞きに行ってください。皆さんの先輩には低学年から研究室に通っている学生もいます。躊躇せずにのぞいてみて下さい。
また、周囲に知らない人が多く、不安な人も多いと思います。自ら声を掛けて、知人を増やすことも小さなトライです。是非、大学で多くの人と接し、人脈を広げて下さい。同性、異性関係なく、大学時代の友人は今後の人生において、かけがえのない財産になります。手を動かし、たくさんの小さなトライをして、そして大いに楽しんで下さい。それも一人でなく、教員や友人と一緒にトライしましょう。仲間がいればもっと楽しい。
これで私からの歓迎の挨拶を終わりにします。この四年間、多くのトライをして、たくさん楽しんで下さい。
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1つ目の話題は、先日話題に挙げた「手に映る脳,脳を宿す手」Goran Lundborg著 砂川 融(監訳)(医学書院)から、2つ目の話題は「会社はあなたを育ててくれない」
古屋星斗 著(大和書房)から引用させて頂きました。
改めて読み返すと、大学に入学したての学生にどれだけ届いたかどうかは分かりませんが。。逆に何を言っているんだこの人は、と思うくらいがいいのかもしれません。。
写真は新入生が初めてキャンパスに入構した開構式(4/3)の日ものです。小雨が降っていましたが、例年より遅い桜がほぼ満開でした。


開講式(4/3)の正門 開講式(4/3)の体育館