固液混相流れにおける急縮小部を通過する固体粒子の流れに関する研究


 ボトルネックのような急縮小部を通過する粒子の流れにおいて、粉粒体の流れ(固気混相流)と流体駆動粒子の流れ(固液混相流)では流れの様相が異なる。粉粒体の流れにおいては、急縮小部に向かって粒子がV字状に流入するファネルフローは一般的に良く見られる現象である。その一方で、槽内の粉粒体全体を一様に下降しながら流れるマスフローに近づけるため(すなわち整流するため)にボトルネック手前に障害物を挿入する方法が用いられている。例えば、サイロ内の粉体の流れにおいて、一般に粉体はサイロ出口のボトルネック部で詰まる。これを阻止するためにボトルネックの手前にコーン(障害物)を置いて、ボトルネックの閉塞を回避するという方法が前世紀から経験的に採用されている.近年、実験および数値シミュレーションを利用した障害物設置による目詰まり低減や障害物形状の効果に関する研究が行われている。

 液体中の固体粒子が流体と共に流れる流体駆動系の固液混相流において、急縮小部手前に障害物を置いた場合、固体粒子の流れが促進するか否かは興味深い問題である。障害物が無い流体駆動粒子の急縮小部における目詰まりについての研究は多く行われているが、障害物を設置した場合の粒子流れの影響についてはどうやら行われていない。化学、食品、土木等の産業における原材料の輸送過程、製品および製造過程において固液混相流の移送は非常に多く用いられている。固体粒子の大きさもナノオーダーからミリオーダーまで様々である。本研究はブラウン運動や粒子間の静電相互作用等が生じない大きさの固体粒子を対象に、急縮小部を通過する流体駆動の粒子の流れに障害物がどのような影響を与えるかを2次元実験と数値解析によって検証し、そのメカニズムを解明し、最適な条件を探索することを目的としている。現在、その途上にある。

 

研究の一部はこちら

2020年03月19日