なにかあったらどうすんだ症候群
先日(6/8)の日本経済新聞朝刊に『日本にはびこる「なにかあったらどうすんだ症候群」』という記事で元陸上選手の為末大氏のSNS発信について紹介していた。「あっ、これだ。そうそう、これなんだ」と記事を読む前から妙に腑に落ちた。
記事はスポーツ欄であったが、書かれていた内容は今の日本社会の至る所に見られることであった。この症候群は、実に厄介な代物である。「イノベーション!」といいつつ、一方で「それ大丈夫?危険では」で、なかなかすんなりと進まない。
これは今に始まったことでは無い。ホンダ創業者の本田宗一郎氏が次のような言葉を残している。
「日本人は,失敗ということを恐れすぎるようである.どだい,失敗を恐れて何もしないなんて人間は,最低なのである.」
私の講義の最初のガイダンスで『失敗学』の提唱者の畑村洋太郎氏の「だから失敗は起こる」(2007, NHK出版 DVD+BOOK)を見て、レポートを書いてもらっているのだが、レポートの中に『「失敗を避けたがる人が多いが、失敗を通じてものを見た方が、よほどものの本質が見える」と言っていたのは衝撃的。』ということを書いた学生がいた。
最後に、以下も本田宗一郎氏の言葉である。
「チャレンジしての失敗を恐れるな.何もしないことを恐れろ.失敗が人間を成長させると私は考えている.失敗のない人なんて本当に気の毒に思う.困れ.困らなきゃ何もできない.自分の力の足りなさを自覚し,知恵や力を貸してくれる他人の存在を知るのもいい経験である.」